自病院のランク付けをしてみましょう
【病院のランク付けの目的】
◆どのような環境変化が来ても乗り越えるための対応ができるように経営体質を強化する
◆現状における病院の問題点や課題点を明らかにして対応方法を明確にする
◆病院の職員等の関係者に病院の実施を把握させ、協力体制を固める
《簡易判定》
ランク | 財務の状況 | 組織の状況 | 組織の目標 |
1 |
過去3年間欠損の状況 が続いている |
職員の離職率40%以上/年 人材不足に陥り組織が不安定 |
欠損体質から利益 体質への転換 |
2 |
過去3年間で欠損状況が ない |
職員の離職率30%以下/年 安定した組織であるが環境 変化への対応が弱い |
継続経営に向けた 経営基盤の確立 |
3 |
過去の経営成績は常に 一定の利益を確保でき ている |
職員の離職率20%以下/年 環境変化を捉え新しいこと への取り組みができる組織 |
新しい経営体質 への創造的経営 |
《詳細判定》
1.財務状況からのランク付け
次の5事項について15項目の経営指標で財務状況を判断します。
①安全性:貸借対照表と職員に状況から判断します。
・自己資本比率 =自己資本÷総資本×100
・流動性比率 =流動性資産÷流動負債×100
・職員離職率 =(一年間の離職者数÷年度末職員数)×100
②経済性:収益力等から判断します
・経営資本医業利益率 =医業利益÷経営資本×100
・医業収益対医業利益率=医業利益÷医業収益×100
・医業収益対経常利益率=経常利益÷医業収益×100
③循環性:資金の活用状況から判断します。
・支払勘定対受取勘定回転率=受取勘定回転率÷支払勘定回転率
・経営資本回転率 =医業収益÷期末経営資本
・投資回収年月 =期末固定資産及び繰延資産÷当期自己金融
④活動性:病院の経営活動の状況から判断します。
・過去3カ年の医業収益増加率=(当期医業収益÷前期医業収益ー1)×100
・過去3カ年の経常利益増加率=(当期経常利益÷前期経常利益ー1)×100
・月間労働生産性 =(純付加価値÷期首・期末平均職員数)÷12
⑤創造性:新たに生み出す力から判断します。
・労働所得分配率 =人件費÷純付加価値×100
・一人当たり年間経常利益=年間経常利益÷ 期首・期末平均職員数
・医業収益対研究費比率 =(研究開発費+開発費償却)÷医業収益×100
2.組織状況からのランク付け
次の4事項16項目から判断します。
①経営組織の編成実態
・経営組織図は存在しますか
・経営組織を運営するための会議の体系は明確ですか
・経営組織における「職務内容」「業務内容」は明確になっていますか
・経営組織の運営を行うために、必要とされる人員と能力は明確になっていますか
②教育体系の実態〕
・組織全体の教育体系は明確になっていますか
・教育体系は「専門性」と「業務遂行」とに区分されていますか
・職場での教育目標を設定していますか
・個人別の目標設定と教育内容がリンクされていますか
③組織内の意思疎通
・指示命令及び相談はしっかりと行えていますか
・経営理念や経営目標は組織の現場スタッフまで理解されており、その行動が
できていますか
・会議を活用して職種間階層間の交流がなされていますか
・問題や課題は常に組織内で検討され、改善に向けた対応策が明確で取り組
めていますか
④会議の活用度
・会議の目的や内容は明確となっておりスムーズに進められていますか
・会議で決定したことは組織の末端まで浸透させることができていますか
・決定事項は会議間で共有化できていますか
・会議での議題は事前に共有化できていますか
経営組織内の意思疎通の状況は、経営を行う上で大きな影響を与えることとな
ります。組織内での決定事項や 問題点や課題点を共有化し、対応できる組織体制
にすることが必要です。経営上に発生する問題点はあらゆると ころから発生して
おり、しかも今までに経験のなかった内容がほとんどです。したがって、それに
対応するため には全職員が行うことが原則となります。その意味においてもコミ
ュニケーションの浸透が経営上重要だといえます。